93年9月17日、レナウンの社長は中間決算の記者会見の席上、苦渋に満ちた面持ちで無配転落を発表した。大正時代に来日した英国の戦艦の名前を冠し、アパレル業界では自他ともに認める「王者」であるレナウンにとって、無配は63年の株式上場以来初めてのこと。経常損益も当初予想が十億円の黒字だったのに対し、八十億円の赤字になる見込みだという。このため、記者会見は一時間半という異例の長時間に及んだ。同社の経理部長が一通り説明を終えると、記者から八十億円の赤字や無配転落の背景などについて質問が矢継ぎ早に飛んだ。出席した社長はわりとさばさばした表情で答える。「リストラ(事業の再構築)は予定通り進んでいるが、(景気後退という)一般状況があまりにも悪すぎた」。来期に経常損益をトントンに持っていくには、売上高を今期より10%増やす必要がある。しかし、「現実には売り上げを伸ばせる状況でもないし、そういう積極予算を組む時でもない。二年に分けて5%ずつ売上高を増やし、96年1月期に何とか黒字にできれば……」と社長の言葉は歯切れが悪い。